午後。各学年競技が終わって、残るは全学年競技のみ。
「っし! 対抗リレー頑張んぞ!」
和也がジャージをまくり、その姿を眺めていると、理一に名前を呼ばれた。
「綾、これサンキュー」
そう言って髪ゴムを返してきた理一に、アメピンを渡す。
「じゃあこれあげる」
「おー。サンキュ」
理一は前髪を留めながら綾を見下ろしてきた。
「髪ゴム、大事なん?」
「うん。小学ん時、陽子と陸に誕生日プレゼントでもらったやつなんだ」
「じゃあそれは噂の彼氏からかや」
ニヤリと笑う理一の目線は、綾の首元を見ていた。
「───っ」
綾の首には、京から貰ったハートのネックレスが下がっていた。
京にもらってから、ずっと付けていた。離れてからも、ずっと。
「……始まるっぽい」
何も言わない綾を気にしてくれたのか、理一はひと声かけて集合場所に歩いていった。
……しっかりしなくちゃ。
焼き付いた綱引きの光景を、頭から振り払う。
……次は大事な対抗リレーなんだから。



