君を、何度でも愛そう。



「位置ついてー」

担当の先生が声を掛ける。


「てか、負けないしっ!」


綾が大声で勝ち宣言をすると、並んでいた1組の男子が焦る。


「綾〜プレッシャーかけるなや!」

「男なら勝てっ!」

「綾に言われたら勝つしかないがぁ〜」


ざわめく中、決勝戦のホイッスルが鳴る。


「引け────!!」


そう、声をかけた。


両者とも譲らない。引いたと思ったら、引き戻される。綱の真ん中に印された赤い線が、どちらのクラスに勝利を与えようか、迷ってるようにさえ見える。


どのくらい経ったのか、突然時が止まったようだった。


誰よりも際立つ、存在感。普段の姿からは想像できない、まじめな表情。力いっぱい綱を引くその姿に、力の限り仲間を励ますその声に、心が粗く削られた。


突然だった。ドスンと、胸のあたりに重いものが落ちたような感覚。


絶対に動くことの、変わることのないはずだった、たったひとりを想っていた綾の心の奥底を、激しく揺さぶられた。



───ピピーッ!


「綱引きっ、優勝1組!!」



喜ぶ1組の生徒。そんな中、綾はただひとりを見ていた。