「覚えちょらん? 綾が2回目に家来た時だけん」
「……綾が初めて泊まった時……」
そう言った綾を見て、律兄は優しく微笑んだ。
そうだ。綾は体調が良くなくて学校を休んでた時、京たちがお見舞いに来てくれた。
その日パパが急に仕事が入って、ひとりになってしまう綾を、京が家に呼んでくれたんだ。
その時、綾と京は気まずくて、だから仲直りできて嬉しくて、綾は泣きながら京の腕の中で眠った。
「あの夢の中の声は、律兄と京ママだったんだね……」
「夢?」
「夢で声を聞いたの」
そう、夢の中で聞こえた声。
──…2人……天使みた……。
思い出に……るか?───
あれは律兄と京ママの声だ。
「あぁ、綾と京、ふたりってまるで天使みたいねって母ちゃんが言うけん。じゃあ思い出に写真撮るか?って話しちょったが」
涙はいつの間にか止まっていて、律兄は懐かしいのかまだ顔が緩んでいる。
「ありがとう」
「おぅ」
ぎゅっと写真を胸に押し付ける。
大事にする。宝物にするよ。
ありがとう。ありがとう、律兄。



