「綾っ! 律さんが校門んとこに!」
やっぱり律兄!!
「どうしよう! 陽子!」
京が東京に行ってしまって以来、一度も京の家に行っていないんだよ!
「綾っ、律が……」
「知ってるぅぅ〜」
陸も言いに来たらしい。周りにいた女子にも聞こえたのか、目の色が変わる。
「なん!? 三波さんの知り合い!?」
「知りません!」
突然女子の黄色い声が一層強くなった。と思うと、静かになった。
「あーやーちゃんっ」
ビクリと体が揺れる。恐る恐る振り向くと、律兄が窓から顔を出していた。
「会ってくれないから来ちゃったっ」
来ちゃった……じゃないよ! ウィンクしたって何も可愛くない!
「ご同行願えますか? お姫さん」
律兄はすごい笑顔で周りの女子をキュンとさせてたけど、綾は身震いをした。
もう完璧逃げられない……笑顔コワ過ぎる!
「……はい……」



