「また先輩? 仲いいの?」
「お友達だよ〜」
陽子の隣に腰掛けて、長テーブルにお弁当を広げた。陽子は遠くにいる中野先輩を見てから、綾をチラッと見やる。
「まぁ……たまにはいいが。……京と連絡取れちょらんのでしょ?」
「……続いてるのかは分かんないけど、別れたわけでもないよ」
陽子は気まずそうな、悲しそうな表情になる。
陽子の言いたいことは分かる。連絡もない、いつ帰ってくるか分からない京を、いつまでも待ってるのは酷だと、そう言いたいんだと思う。
確かに付き合っていたし、別れた言葉はないけど、世の中には自然消滅というのがある。
第一あの手紙に書かれた約束には、
“一生好き”という“綾”の誓いは、一切なかった。



