――京がいなくなって、綾は気力を失くした。


それでも毎日は足早に過ぎていって、『京がいなきゃ生きていけない』なんて、そんなこと言ってられなかった。


それ以前に、「綾は弱い」と思われるのが嫌だった。


だからこそ。

京と離れた現実は、乗り越えなきゃいけない壁だった。


京からの手紙を何度も何度も読み返して、気付いた。


綾が泣いて過ごすのは、間違いだということ。


京の文字は確かに綺麗だったけど、微かに震えていた。


きっと京だって、つらかったに決まってる。


余計な言葉を言わない京。綾は真っ直ぐ、素直な答えが好きで、京はそれを分かっていた。


照れてなお、綾に愛情を注いでくれた。


そんな京が好きで、だからこそ、京を失いたくなかった。


考えれば考えるほど、京と過ごした日々が鮮明によみがえる。


京が好きで好きで堪らないんだと、思い知らされる。



だからこそ待つよ。


離れたって、何度だって……。


君を愛す。



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