「本当にいないんだ……」
京の部屋はガランとしていた。ベットも本棚も机も、部屋に置かれていたはずの家具はなくなっていた。
見たことがある景色。
「ママ……」
綾の部屋だ。
東京からこの町に引越してくるときに片付けられた、綾の部屋に見えた。
綾はママを置いてきぼりにするみたいで、空っぽになった部屋を見るのが嫌いだった。
あぁ、そっか……。
「綾……置いてかれたんだ」
いきなり実感が湧いてきて、部屋の真ん中に力なく座り込んだ。
「不思議だぁ……」
綾が3年前までいた場所に、今は京がいる。
ここに、京はいない。いないんだ。
つい最近までずっと一緒にいたのに。この前まで、この部屋で唇を重ねたのに。
――胸が痛い。
目の前が、真っ暗になった。



