「綾……京は、医者になりちょーて、東京の中学に行ったが。秋にいきなり、行きちょー言い出して……有名私立だけん、受験のために必死で勉強して受かったけん」
秋……そんな前から…?
何で綾に言ってくれなかったの……。
「京……ずっと気にしてたけん。綾のこと」
「……」
律兄が嘘を言ってないのは分かったけど、全て言いわけのようにしか聞こえなかった。
「……京は……」
律兄はまた何か言おうとしたけど、綾を見て、口を閉ざした。
誰も話さなかった。
時間だけが過ぎていく。
「京の……部屋に行きたい」
綾がそう言うと、直姉が黙って立ち上がり、綾の手を引いてくれた。
京の部屋の前。外観は何も変わっていなかった。
「……帰るとき、顔出してね」
そう言って、直姉はリビングに戻っていった。



