「……ねぇ。京ママ具合悪いの?」
「ん? ……ああ……夏バテじゃん?」
「今3月だよ」
「そうだった〜」とけたけた笑う律兄の後ろを歩き、リビングに入ると直姉がいた。
「あら? 綾ちゃん」
「こんにちはっ」
「こんにちは」と返してくれた直姉に微笑んでソファーに腰掛けると、京ママが麦茶を出してくれて、ゆっくりと飲む。
……なんだか今日は、みんな大人しいな。
「えと……」
「ゲームやりちょー」
「へっ!?」
「あ……やっぱトランプかや」
どっちでもいいよ……。
「ちょうど4人いるけん! 俺、今持ってくるけん待っちょれ」
律兄は軽快にステップを踏みながらリビングを出た。その背中を見つめながら思う。
「綾、ゲームしたことない……」
「私もよ、綾ちゃん」
苦笑いする京ママを、やっぱりどことなく元気がないと感じた。
「京ママ、大丈夫? 風邪じゃないの?」
「え? ……大丈夫。心配せんでいいけん」
「そっか……なら良かったぁ」
ニコッと笑うと、京ママは飲み物を取りに台所へ向かった。
その背中が震えて見えたのは、綾の気のせいかな……。



