甘いキスをした。本当に短い、綾たちよりも幼い子たちが無邪気にするような、大人の真似ごと。
全ての時が止まっている気がした。
綾と京だけの空間に、だだ時を刻む秒針の音だけが鳴り響いていた。
こんなに幸せだった日はない。
京にたくさんの温かい言葉をもらって、ずっと一緒だと確信した日。
でも、こんなに悲しかった日もない。
京の約束に、確かな言葉はなかった。
『ずっと一緒におる』
もう一度そう言ってくれたけど、この時、
『離れても』
とも言ったよね。
綾はその矛盾に気付かなかった。
ただ浴びせられた数々の言葉を噛み締めるばかりで、京の寂しささえも気付かなかった。
その言葉の裏にある決意すら、気づくことはなかった。
こんなに悲しかった日はない。
綾はこの後いなくなる京と、笑顔で別れたんだ。



