「はあぁぁ……」

「なん? 溜め息ついて」


隣の席に座る京がすぐに反応してきて、そんなに大きい溜め息だったのかと気付く。


顔を覗いてくる京を暫く見てから、今度は小さな溜め息をついた。


「……嫌なわけじゃないんだけどさ……中学行っても2クラスなのかなぁーと思って」

「違うが。4か5クラス」

「へっ!?」


何と、中学は4クラスか5クラスらしい。


「何で!?」

「何で? 西町からも来るからだけん」

「西?」

「俺ら東町だが。東町と西町の間に中学があるけん」

「へぇ〜……じゃあ京と同じになるのは5分の1の確率かぁ〜」

「あー」


あーって!


「少しは寂しがってよっ」

「……離れたら寂しいけん」


京があまりに真面目に答えたから、言葉に詰まった。


……冗談で言ったのに……。


確かに京と同じクラスにはなりたいけど、一生離ればなれになるわけじゃないし……。


「複雑ぅ〜」

「ははっ。何かやソレ」



綾はこの時気付かなかったんだ。京が悲しそうに笑ったこと。


本当に、まったく、全然気付かなかった。