+++++-Side*京-++++++
保健室を出ようとした時、ものすごく小さな声じゃったけど、悲鳴に近いような声で名前を呼ばれた。
「綾……?」
俺は急いで綾が寝るベットへ走る。
「綾! どっか痛っ……」
カーテンを勢い良く開けると、綾は泣いていた。小刻みに体を震わせて、目を必死に開けている。
「……綾……こっち見て」
震える綾の肩を撫でながら、ベッドのそばに膝をつく。
「けぇ……」
ぽろぽろと、綾の目から涙が落ちる。先生も何事かと心配そうに見つめていた。
「どげんしたが?」
綾は俺を見つめたまま何も答えない。
「眠れないんか?」
「……寝たく、ないの……」
……寝たくない? たった一言。それだけじゃったけど、俺には分かった。
「……夢……見ちょるのか……」
「見たくないよ……っ」
きっと冬に言ってた、お母さんの夢のことじゃろう。綾はその夢を見るたび、寂しさと恐怖に怯えちょった。
夢を見たくないのは分かるけど……。でもこのまま寝ないでいると、綾は体を壊してしまう。
それは、嫌だ。



