「……でも京にも彼女いないじゃん」
京がピタッと笑うのをやめる。
あ……マズイこと言った……かも……。
「なんかや?」
顔、顔っ! 怖い!!
「だっ……だって綾、付き合ってなんて言われてないもんっ! さっきだって、付き合ってないって言ってたし!」
京はハァーと溜め息をつく。
「言わなくても分かっちょると思っとったけん。ほんと綾は言わせんの好きだが……」
「だって京の声で聞きたい……」
京が赤くなり、つられて綾まで赤くなる。
「真面目に言ってるのにー!」
「綾……恥ずかしいことサラリと言い過ぎだけん」
「それは京でしょ!?」
ふたりでムーッと睨み合っていると、おかしくなってきて同時に吹き出した。
「意味わからんが」
「ふふっ」
「なんかや」
京の手を、そっと掴む。
「京の手ってあったかい」
「心もあったかいが」
「逆〜。手あったかいと心は冷たいんだよ」
「俺、冷たいかや?」
「全然冷たくないよ」
「綾がそう思っちょるなら、それでいいが」
京のもう片方の手が、綾に伸びる。
「またまたぁ〜」
京の手が、笑う綾の顔に触れた。



