土曜日。16時51分、京の家。
なのに綾は暇人。ていうよりかわいそう。
「あらあら。綾ちゃん、ふてくされちゃって」
「だぁって、京寝ちゃったんだもーんっ」
「ごめんねー。今手が離せんくて」
京ママはお料理中。シチューをずーっとかき混ぜている。
手伝うことがないから、暇で暇でしょうがない。その時、玄関のベルが鳴った。
「誰かしら? 綾ちゃん出ちょってもらっていい?」
「はーいっ」
玄関まで小走りして、
「はいはい、どなた様ですか?」
と、戸をガラっと開けると、大きい男の人が立っていた。暗くてよく顔が見えない。
??? 金色の短髪、耳にたくさんのピアス。いい匂いの香水。固まっていると、いきなりブァッと持ち上げられた。
!?!?
突然のことに身の危険を感じて叫ぶ。
「綾、綾っ! 俺だがっ」
誘拐だと思ったのに、その男の人はリビングに続く廊下を歩いていた。明るくなって、その人の顔がようやく見える。
「!! 律兄!?」
「久しぶりだが〜綾っ! 家の鍵忘れちゃってさ〜」
「綾ちゃん!? どうしちょー!?」
京ママが綾の叫びを聞いて、フライパンを持って登場。
「……あら? 律じゃないの」
「何フライパン持っちょーの!? 俺が誰だか分からんかっただけだけん!」
は、恥ずかしい……。



