「……ごめん」
陽子の言葉に首を振る。
「でも、ホントにそう思っちょったけん。綾は可愛いくて、優しくて。ほしかった人が手に入って」
「陽子、違うよ……手に入れようと思わないで。一緒にいようって、そう思って」
陽子の目が綾を捉らえる。うっすらと、涙をうかべて。
「必要なのは……それだけだよ」
微笑むと、陽子が首を振った。横じゃなくて、縦に。
首を降るたび、陽子の涙が廊下に零れ落ちる。
「ケンカしちゃって……不安だったけん」
やっと笑った陽子を見て、安心した。
「陸と仲直りしよっ!」
「うん。頑張るけん! 教室戻ろ!!」
良かった。陽子には元気なのが似合う。
「よーこ、よーこ」
袖を引っ張ると、「ん?」と陽子は振り向く。
「綾も、陽子になりたかったよ」
「へ!?」
驚く陽子を尻目に、綾は笑って教室に戻った。
陽子。綾は陽子みたいにかっこいい女の子になりたかったよ。
強い強い心が、欲しかったんだ。



