―――――――…
「いいなあ、綾は」
「何が?」
ある日の教室で、陽子が遠くを見る。その視線の先には、陽子の好きな人がいた。
「……あたしは全然何も変わらんけん。前よりは変わったけど、両想いかって言うと0だが……」
陽子が悲しそうに眉を下げる。そんな陽子は、見たくない。
「0っていうのは友達でもない関係。両思いが100だとしたら、50で友達! 可能性は0じゃないよ。その上にいくには、陽子の努力次第でしょ?」
「……その努力ができんが。だけん、無理な気がしちょーよ……」
席に座って本を読んでる陸に視線を移す。京が話しかけているけど、陸は本から目を離さずに受け答えをしてるみたい。
陽子が落ち込んでるなんてめずらしい。……喧嘩でもしたのかな?
「……諦めたら終わりだよ?」
陽子は黙り、綾も何も言わない。
陽子には頑張ってほしかった。
いっつも綾を応援してくれた。郁子の存在で不安になってた時も、背中を押してくれたから。
陸を諦めてほしくなかった。
「……綾になりたい」
「……え?」
何を言ってるんだろう。陽子は陽子なのに……。
「陽子は陽子のやり方でいいんだよ?」
「だけん、ツライがっ!!」
陽子の大きな声で、クラスのみんなの視線が綾達に刺さる。
気まずくて、綾たちは廊下に出た。



