「はあー……」

「何かや?」


体育の時間、バスケットボールを退屈そうに転がしていると、試合を終えた陽子が隣に座った。


「また郁子だなぁ〜と思って……」

「あぁ……」


陽子が苦笑していると、早速京たちの試合に郁子が混ざろうとしていた。


「……絶対、積極的になったよ」


その光景をボーっと見ていると、陽子に背中を思いっきり叩かれた。


い……痛い……!


「大丈夫だけん! 京は綾しか見てないがっ」

「でも、不安だし……」

「まぁ確かに郁子、積極的になっちょーけど。心配せんでも……ほら!」

「……ん?」


陽子が笑って見ている方に視線を移すと、京がこっちを見ていた。


「綾もやろーっ!!」

「……ね?」


きゅうぅ〜と胸が締め付けられる。嬉しくて、京の元へ全速力。


たどり着いたその先に、大好きな京の笑顔があった。