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「綾!? スポンジ持ったまま寝ないでっ!」
簡単な夕飯を済ませ、お皿を洗っていると急激な睡魔に襲われた。
「ん〜……」
隣で皿を拭いていたパパが焦っている。虚ろな目で見上げると、パパは困ったように微笑んでいた。
「疲れたのかな? もう寝なさい。明日も近所の人に挨拶しなきゃいけないし、忙しくなるから」
綾の手に付いた泡を水で流しながら、パパが言った。
挨拶かぁ……めんどくさいな……。そう考えながらも頷く。
「うん……」
「2階に布団敷いてあるからね。ひとりで行ける?」
「ん……」
フラフラとドアへ向かってパパに振り向き、頭を下げた。
「おやすみなさい……」
「うん、おやすみ」
クスクス笑うパパに手を振って、ふかふかの布団を想像してニヤけながら、たどたどしい足どりで2階へと眠りに行った。
……明日は、どんな日になるのかな……。
ベットに入ってすぐに重い瞼をゆっくりと閉じ、深い眠りについた。