追い掛けたが、もう綾の姿が見えなかった。廊下の角を曲がってすぐ、勢い良く振り返る。
綾が、角にうずくまっていた。
「綾っ……」
綾は肩で大きく息をして、膝に顔を埋めていた。
「……綾?」
返事がない。………? 呼吸が短い?
綾はヒュッ、ヒュッと短く息をしていた。
「綾? 具合悪いかや!?」
「つ……疲れた……」
「……は?」
「ひっ、久々に全力疾走したから……く……苦しい」
顔を上げて、苦しげにハハッと笑う綾。
「……ビックリさすなや」
俺はホッとして頭を掻く。
「はーっ……帰ろっか!!」
綾があまりにも普通に言うから、俺は意地悪を言った。
「もう逃げないんか?」
綾はすくっと立ち上がって、下駄箱に向かう。
「だって京が寂しそうにするから」
綾はくるっと長い髪をなびかせて振り返り、悪戯に笑う。
「……よく分かっちょるな」
素直に言うと、綾は頬を染め、気を紛らわすように前髪をいじってる。
「……京、最近変……。何か変だよ……」



