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「けーいー」
「何かや」
「まーだー?」
「まだ」
「バーカー」
綾が机に伏せて、首だけ上に向けて俺を見上げている。俺は机の上の宿題とにらめっこ。
「忘れちょったけん、仕方ないじゃろ」
「忘れるのがバカー」
「お前が毎日遊ぼうって言ってくるからっ!」
「宿題忘れてたのを綾のせいにする気!? いっつも泥まみれで帰ってたのはどこの誰よ!」
確かに。宿題終わっちょらんって思いながら、誘いにのったのは俺……。
自業自得って、こういうことを言うんじゃろうなと思いながら、黙々とペンを走らせた。
「終わったぁー!!」
「お疲れ〜」
ニコッと笑う綾に、伸びをしようとした腕が止まる。ずっと待たせちょったから、嫌みのひとつでも言えばいいのに。
「ありがと」
笑い返すと、綾は顔を赤らめた。
「…………」
こういう時がたまにある。顔を赤くしたかと思ったら、暫く俺の顔を見て、何事もなかったかのように普通になる。
あまり気にせんかったけど、最近何でなんじゃろうかと思うようになった。



