「綾! 京もっ、おはよー!」
陽子だ。昇降口で立ち止まって、陸と一緒に手を振っちょる。
最近あのふたり、仲いいけん……。
「うわーんっ、陽子ー!」
いきなり綾が陽子に向かって走り出し、代わりに陸が俺の元へやって来た。
「おはよう京」
「おお。今年もよろしく」
「……まだクラス発表見てない」
「ふっ。大丈夫大丈夫」
「……まぁ京が言うなら大丈夫だとは思っちょーけど」
陸とは幼稚園からずーっと一緒。
家のことも俺の将来の夢も知っちょる。俺は先生の言う事は聞かんくても、陸の言うことなら聞く。
そんな問題児の俺を陸と離したらどうなるかぐらい、先生も分かっちょる。2年生ん時、失敗しちょるもんね。
まあ綾も同じ理由。先生は、陸と陽子は俺と綾に必須なんだってことを知っとるはず。
だから……。
「京っ! 同じクラスー!」
「問題児は一緒にしとくんが楽だけん」
そういうこと。
「陽子も陸も同じだよー!」
綾がぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。
予想しちょったことだけど、こんなに喜んでる綾を見ると俺も嬉しくなってくる。
「京すごいね、分かってたんだねっ」
「綾と違って頭いいけん」
少しバカにして言うと、綾が怒った。
また、この4人でいられる。
俺たちは新しい教室へ駆け出した。



