「いらっしゃいませ」
シックな制服姿の受付の女性がにこやかにお客様を出迎え、予約表を確認して営業マンに引き継ぐ。
吾郎は邪魔にならないよう、片隅で様子を見守り、映像の準備や確認作業をする。
商談スペースに用意されたテーブルに続々とお客様が案内され、営業マンが明るく対応していた。
安藤も、今日は最初ということで、原口の補佐として一緒に回るらしかった。
午前中の予約のお客様が揃い、まずは大型スクリーンでマンションの紹介映像を観てもらう。
吾郎としてはドキドキの瞬間だったが、誰もがうっとりと笑顔で見とれていて、一安心する。
次はMRを使って建物の詳しい構造や立地、部屋から見える景色などを説明していく。
原口の言葉に合わせて、この日は吾郎が自ら操作を担当した。
男性はやはりこの説明を一番詳しく聞きたがるが、子ども達は退屈してきて母親の手を引っ張り始めた。
「ねえ、もう帰ろうよー」
男の子の大きな声に、その場にいる営業マン達がピクリと顔を引きつらせる。
「よし、じゃあ僕。あっちに面白いものがあるよ。行ってみる?」
吾郎が手招きすると、他の子ども達も集まって来た。
「ほら、大きな地図があるだろ?これは冒険の地図だ。好きな所に手をかざしてごらん。何が始まるかな?」
吾郎の言葉に、男の子はわくわくした様子で、そっと真ん中に手をかざす。
すると目の前に、子犬を散歩させている女の子の映像が立体的に浮かび上がった。
楽しそうに笑顔でパパやママを見上げている女の子が、ふとこちらを振り返り、にっこりと手招きする。
「え、俺?」
手をかざした男の子が思わず自分を指差す。
『早くおいで!公園に行こうよ』
聞こえてきた女の子の声に、男の子はキョトンとしている。
フッと映像が消え、吾郎が男の子に声をかけた。
「じゃあ、今度はここに手をかざしてみて」
「うん!」
他の子ども達も見つめる中、男の子が手をかざすと、次に映し出されたのは広くて綺麗な公園だった。
ブランコや滑り台、シーソーやアスレチック。
花壇のそばにはベンチやテーブルもある。
そして公園の外周は、ペットのお散歩コースになっていた。
先程の映像の女の子も、子犬と一緒に元気にお散歩コースを走っている。
「わあ、楽しそう!俺も行きたい!」
男の子が目を輝かせる。
「この公園は、このマンションに実際にあるんだよ。友達と思い切り遊んだり、ワンちゃんをお散歩させたり。奥には小さな森があって、夏にはカブトムシも見られるよ」
ええー?!と、子ども達は一斉に声を上げた。
「すごい!ここに住みたい!」
「私もー!」
「みんなでここで遊びたいね!」
「うん。友達になろうぜ!」
ワイワイと盛り上がる子ども達を、吾郎は微笑ましく見守っていた。
シックな制服姿の受付の女性がにこやかにお客様を出迎え、予約表を確認して営業マンに引き継ぐ。
吾郎は邪魔にならないよう、片隅で様子を見守り、映像の準備や確認作業をする。
商談スペースに用意されたテーブルに続々とお客様が案内され、営業マンが明るく対応していた。
安藤も、今日は最初ということで、原口の補佐として一緒に回るらしかった。
午前中の予約のお客様が揃い、まずは大型スクリーンでマンションの紹介映像を観てもらう。
吾郎としてはドキドキの瞬間だったが、誰もがうっとりと笑顔で見とれていて、一安心する。
次はMRを使って建物の詳しい構造や立地、部屋から見える景色などを説明していく。
原口の言葉に合わせて、この日は吾郎が自ら操作を担当した。
男性はやはりこの説明を一番詳しく聞きたがるが、子ども達は退屈してきて母親の手を引っ張り始めた。
「ねえ、もう帰ろうよー」
男の子の大きな声に、その場にいる営業マン達がピクリと顔を引きつらせる。
「よし、じゃあ僕。あっちに面白いものがあるよ。行ってみる?」
吾郎が手招きすると、他の子ども達も集まって来た。
「ほら、大きな地図があるだろ?これは冒険の地図だ。好きな所に手をかざしてごらん。何が始まるかな?」
吾郎の言葉に、男の子はわくわくした様子で、そっと真ん中に手をかざす。
すると目の前に、子犬を散歩させている女の子の映像が立体的に浮かび上がった。
楽しそうに笑顔でパパやママを見上げている女の子が、ふとこちらを振り返り、にっこりと手招きする。
「え、俺?」
手をかざした男の子が思わず自分を指差す。
『早くおいで!公園に行こうよ』
聞こえてきた女の子の声に、男の子はキョトンとしている。
フッと映像が消え、吾郎が男の子に声をかけた。
「じゃあ、今度はここに手をかざしてみて」
「うん!」
他の子ども達も見つめる中、男の子が手をかざすと、次に映し出されたのは広くて綺麗な公園だった。
ブランコや滑り台、シーソーやアスレチック。
花壇のそばにはベンチやテーブルもある。
そして公園の外周は、ペットのお散歩コースになっていた。
先程の映像の女の子も、子犬と一緒に元気にお散歩コースを走っている。
「わあ、楽しそう!俺も行きたい!」
男の子が目を輝かせる。
「この公園は、このマンションに実際にあるんだよ。友達と思い切り遊んだり、ワンちゃんをお散歩させたり。奥には小さな森があって、夏にはカブトムシも見られるよ」
ええー?!と、子ども達は一斉に声を上げた。
「すごい!ここに住みたい!」
「私もー!」
「みんなでここで遊びたいね!」
「うん。友達になろうぜ!」
ワイワイと盛り上がる子ども達を、吾郎は微笑ましく見守っていた。



