僕の家から近いこともあり、一切迷わずにちひろちゃんの家らしき場所に着いた。 ファイル資料には、アパートの1階奥に住んでいると書いてあったけど、ポストにも玄関にも表札はない。 誰がどこに住んでいるのか分からない、外観は風化したような少し不気味なアパート。 プライバシーを異常に守る、現代ならではの光景なのだろうか。 とりあえず、住所通りのインターホンを鳴らしてみる。 「はい…どなたですか?」 「警察官の篤見と言います。人を探してまして。内田ちひろさんという方なんですが、ご存知ですか?」