「羽生先輩…離れてください」


「いやだ。逃がさない」


「私、血吐いて…汚い…」


「汚くない」



これまた珍しく強い口調で言われてしまえば、黙るほかなかった。


体を解放されたかと思うと
耽美な顔が近づいてきて、口の端をぺろりと舐められる。


その舌に乗るのは私の血。


驚く私なぞおかまいなしに唇でも味わおうとしてくるから、さすがに身を引いた。


天使の瞳からさらに色が無くなる。



「…逃がさないって言った」



強い力で肩を抱き寄せられる。


優しい彼は、私の肌にしたたる赤を幾度となく吸い取った。