それからモモをなぐさめたあと、一緒に朝食へと向かった。
『さぁ、ベンタ。そのかわいいお口を開けて?』
「あはは、だいじょーぶだよ!自分で食べるから!ありがとね〜」
手ずから食べさせようとしてくれたモモをやんわりお断りして、フォークを持つ。
ものすごく長くてピカピカな大理石のテーブルに乗せられた食事はなんとも現実味がない。
いや、そもそもこの世界自体おかしいからなんでもありなの?
オムレツをひとくち食べれば、とてもおいしくて
「ん〜♡ここのシェフさんは天才だね」
絶品!舌鼓ってやつ。
野菜スープにツナサンド。
壁を見れば精緻な紋様が彫られているような気品あるお屋敷だけど、出てきたメニューは一般女子高生のわたしにはありがたい庶民的なものだった。
それになぜだろう。
味つけにひどく懐かしさをおぼえる。
わたしの頭の中をのぞいて、それをまるっと調理したみたいな、それくらい馴染みのいい味。
『うちの食事はすべてジョンが担当しているんだよ。ベンタがよろこんでたこと、あとでジョンにも伝えておくね』
自分のことのように嬉しそうにほほえむモモ。
しかしわたしは、その名前を聞いてピタリと咀嚼が止まってしまった。
「こ、これ……へんなクスリとか入ってないよね?」
クンクンとスープの匂いをかいだ。
遅効性の毒で一発アウトとか、彼ならやりかねない。
『ふふ、心配しなくても大丈夫だよ。きちんと毒味は済ませてあるし、ああ見えてジョンは仕事にはマジメだから』
ああ見えてって……モモにすらそんなふうに言われるあのイエローの道化師は結局難アリなんだろうなぁ。
わたしはモモの言葉を信じてふたたびフォークを進めた。



