翌朝
鏡で舌を見れば、欠損が修復され元通りになっていた。
スカートに隠れる膝の傷もすっかり綺麗に。
この世界……ほんと歪んでるなぁ。
心の中でこぼしつつ、寝癖発見。
隣で眠っていた成生くんの姿はどこにもなかった。
先に起きて部屋を出たみたい。
髪を整え、セーラー服のリボンを結ぶ。
コスメなんてあるわけなくて、すっぴんでいるしかないのが不満。
ぐぬぬ……最低限のかわいさは乙女の基本なのに。
自室の扉を開いた瞬間、現れたのはピエロの仮面。
『ベンタ様!
お加減がいかがでしょうか?』
扉のすぐ横で待ちかまえていたダリと対面した。
昨日のゲームでわたしの死に姿を美しいと言った男。
そのピエロの仮面の下からは、あいかわらず高揚感のにじんだ声を発していた。
「あー……うん。このとおり……うぬっ」
『なんてことだ!
あなた様の美しい言葉を
ふたたびこの耳で味わえるとは!
ダリ、感無量でございます』
おもいきり抱きしめられた。
朝から暑苦しいというか、キョーレツ。
けどわたし、ぜんぜん許してないから。
「放して。……ごめん、しばらくあなたの顔見たくない」
痛いほどの腕から逃げ出す。
そんなわたしを、ダリは固まったまま見つめた。



