「ポピィにはやらねぇよ。おまえのこと。誰にも、やるもんか」
「……」
「いま、おまえの王子様になれるのはおれだけなんだから」
これは夢の世界なんだろうか?
成生くんが見たことないくらい甘くて、お砂糖みたい。
クールでいじわるな姿しか知らなかったから、わたしを守ると、味方だと覚悟を決めた成生くんの強く深い愛情のようなものが一字一句に秘められている気がして、ドキドキと困惑してしまった。
「明日もゲームは続く」
こくん
「必ず生きよう」
こくん
「ベンタ」
がばりと、ふたりまとめて毛布を被せられてしまう。
暗闇の中で成生くんが近づいてくる気配。
わかったのはそれだけ。
くちびるにくっついたやわらかいものの正体はよくわからなかった。
「ベンタ」
「……」
「おれ以外の、だれのお姫様にもなるんじゃねーぞ」
"お姫様"
ポピィにも、成生くんにも言われたその言葉。
ボロボロになった体で、命を散らしながら、それでも生きるためにもがいた姿を美しいと手を叩かれるわたしは……
お姫様なんかより、道化師のほうがよっぽどお似合いなんじゃないかと、そう思ってしまった。



