沈黙がただよう。
このままではいけない。
ポピィの胸をトントンと叩くけど、わたしを包む腕の力はいっこうに弱まることはなくて。
「ベンタ、必要以上にその道化師に触れないで。手が滑っておまえのことまで殺しそうになる」
成生くんから放たれた言葉に衝撃を受けた。
カチャリとした硬質な音は、引鉄に指をかけた合図であり、場合によってはわたしのことも標的の内だと知らせている証拠。
どうしよう…成生くんがおかしい。こわいよ。
指先から震えがこみあげてくる。
そのとき、ポピィの腕が外された。
わたしの顔を見ることもなく、赤い道化師は軽い動作でベッドからおりていく。
『んな怖い顔すんなよ。ちょっといじめてただけだろ〜?』
降参とでもいうふうに両手を挙げながら笑うポピィ。
その横顔は、わたしの知っている意地の悪い彼そのもので、さっきまでの不安定で繊細な様子は見る影もない。
「ちょっと?それにしてはずいぶんひどい有り様だな?」
成生くんの目線が忌々しそうにわたしの足に注がれた。
真っ赤なシーツ、毛布、撃たれた傷、止まらない血。
すべてを映すその瞳が重く揺れる。



