夏は海に行って、水着カワイーって言ってくれた。
遊園地に行った時は、狭い観覧車の中で会えて嬉しいのハグをしてくれた。
夏祭りではハシャぎすぎて、疲れきって帰ったよね。
ほんとに毎日楽しかった。昴を好きになって良かったと、心の底から思うのに……。
『では、王子の好きな人を発表していただきましょう! 呼ばれた子は、ステージに上がって来て下さいね~っ!』
流行りのラブソングが、体育館に響き渡る。
「……っ」
見つめていた昴の背中が、ぼやける。
友達になるんじゃなかった。ただ、見てれば良かった。
悔しい。悲しい。あんなに一緒にいたのに、昴に好きな人がいることすら知らなかった。
知ってるようで、何も知らなかったんだ。
見てるだけだったら、昴に好きな人がいても平気だったに決まってる。
ショックは受けても、こんなに痛くて苦しい気持ちにはならなかった。
姿を見れたらそれだけで幸せだったのに……何でこんなに、欲張りになっちゃったんだろう。
あたしだけの昴が見たい。昴の彼女になりたい。
昴の全てになりたい。
目の前に立つ昴の背中に、今すぐに抱きつきたい。
たまらず涙が零れて、下唇を噛んで俯く。
抱きついて、好きだよって言いたい。
そしたら、振り向いて、トールって呼んでほしい。
間延びした優しい声で、大好きな笑顔で、トールって、呼んでほしい。
好きだよ昴……。
あたしはいつも、あなたに溺れてる。



