──ユアンは、わたしのお月さま。
 どこにいてもミリエルを見つめてくれる、ミリエルだけの月……。
 今日まで、妹ばかり見る両親と、毎日かぶせられる濡れ衣に、心が壊れかけていた。
 でも、もう、ユアンがいれば、この先には幸せがあると信じられる。
 幸せだ、本当に、本当に、本当に……。
 ──…………。
 ミリエルが、聖女セレナの暗殺未遂で囚われ、それに抗議したユアンが拘束されたのは、翌日のこと──すべては、ユアンの不在をついた一瞬の隙に行われ、そして、終わった。