素直に返事をし、席を立って本を取りに行った。


綺麗な顔して案外ずる賢いのね。でも、早めに施錠したほうが見回りの人にとっては都合がいいか。


先日借りた心理学の本を読んでいると、テーブルの上に本がドサッと置かれた。


1、2、3。おー、勉強熱心だなぁ〜……って、全部占いの本かよっ。

こんな趣味全開のジャンルまで置いてあるんだ……。っていうか、少し色褪せてない? もしかして私が入学する前から置いてあった感じ?


七瀬くん以外にもいたんだな、ガチオタク。



「ねぇ、それ、どんなことが書いてあるの?」

「えーとね、運を良くする方法と、願いを叶える方法が載ってるよ」



栞を挟んで中断し、目次を見せてもらう。

今彼が読んでいる本は、願い事や運に焦点を当てたもの。自分の性格や才能がわかる方法はもう2冊のほうに書かれているらしい。



「金運アップねぇ〜。満月の日にお財布月光浴してるとか?」

「あー、昔ばあちゃんと一緒にやってたけど、今は面倒だから、代わりにヘビの脱け殻入れてる」



危うく吹き出し笑いしそうになったのを寸前のところで止めた。



「見る? ちょうど今日持ってきてるよ」

「いや、いい」