「貴方、秘書のくせに何の権利があって邪魔をするの?そこを退きなさい。」
雨宮優奈の怒りは頂点に達する。
彼女の声が廊下中に響き渡る。
その時、ガチャッ
と、突然、副社長室のドアが空き、俺の後ろから日向が出て来てくるから、そこにいる誰もが一斉に彼女に目に向ける。
俺は慌てて日向を守ろうと制止するが、日向は一礼すると、何も告げずにエレベーターに向かい歩き出す。
そこに居る誰もが言葉を発する事が出来ず、日向を止める事が出来ない。
「貴女、陰気臭いわね。李月さんとどういうご関係?私、彼の婚約者なの。今後も彼に近付くならば、私に許可をとってからにして頂戴。」
日向はゆっくりと足を止め、こちらに振り返る。
俺は日向に危害が加えられるのを恐れ、急いで彼女の方へ足を運ぶ。
「私は…ただの古本屋の娘です…。副社長とは何の関係もありません。ただ、お仕事のお手伝いをさせて頂いただけなので…これで、失礼致します。」
日向は清々しいほどキッパリと言い切り、また一礼してその場を去って行く。
その後ろ姿が神々しく見えるのは、俺だけだろうか…。
彼女は合わなかった15年の間に強くなっていた。
俺が背中で隠さなくても、1人で立ち向かう事が出来るしっかりとした大人の女性に成長していた。
後ろ姿を見守り立ちすくむが、得体の知れない不安に襲われる。
「…酒井、悪いが…。」
振り返りざまに酒井に目を合わせると、
「行って下さい。ここは私にお任せを。」
と、背中を押される。
その言葉を聞いて、後先考える余裕もなく走り出す。
2つあるうちの残りのエレベーターのスイッチを連打するが、まだ20階で止まっている。
日向の乗ったエレベーターは40階で止まっている。急げば先回り出来ると瞬時に判断し、非常階段へと走る。
何をこんなに必死に走ってるのか、自分自身だってその正体を知らない。
ただ、このまま日向を帰したら2度と会えない気がして、そう思うと一気に焦燥感に襲われ足元がぐらつく。
心臓がバクバクと音を刻み、グルグルと回る階段を一つ飛ばしでひたすら走り降りる。
35階でエレベーターホールに踊り出る。
日向の乗ったエレベーターは32階を差している。
間に合った…俺は息整えながら下のボタンを押す。
雨宮優奈の怒りは頂点に達する。
彼女の声が廊下中に響き渡る。
その時、ガチャッ
と、突然、副社長室のドアが空き、俺の後ろから日向が出て来てくるから、そこにいる誰もが一斉に彼女に目に向ける。
俺は慌てて日向を守ろうと制止するが、日向は一礼すると、何も告げずにエレベーターに向かい歩き出す。
そこに居る誰もが言葉を発する事が出来ず、日向を止める事が出来ない。
「貴女、陰気臭いわね。李月さんとどういうご関係?私、彼の婚約者なの。今後も彼に近付くならば、私に許可をとってからにして頂戴。」
日向はゆっくりと足を止め、こちらに振り返る。
俺は日向に危害が加えられるのを恐れ、急いで彼女の方へ足を運ぶ。
「私は…ただの古本屋の娘です…。副社長とは何の関係もありません。ただ、お仕事のお手伝いをさせて頂いただけなので…これで、失礼致します。」
日向は清々しいほどキッパリと言い切り、また一礼してその場を去って行く。
その後ろ姿が神々しく見えるのは、俺だけだろうか…。
彼女は合わなかった15年の間に強くなっていた。
俺が背中で隠さなくても、1人で立ち向かう事が出来るしっかりとした大人の女性に成長していた。
後ろ姿を見守り立ちすくむが、得体の知れない不安に襲われる。
「…酒井、悪いが…。」
振り返りざまに酒井に目を合わせると、
「行って下さい。ここは私にお任せを。」
と、背中を押される。
その言葉を聞いて、後先考える余裕もなく走り出す。
2つあるうちの残りのエレベーターのスイッチを連打するが、まだ20階で止まっている。
日向の乗ったエレベーターは40階で止まっている。急げば先回り出来ると瞬時に判断し、非常階段へと走る。
何をこんなに必死に走ってるのか、自分自身だってその正体を知らない。
ただ、このまま日向を帰したら2度と会えない気がして、そう思うと一気に焦燥感に襲われ足元がぐらつく。
心臓がバクバクと音を刻み、グルグルと回る階段を一つ飛ばしでひたすら走り降りる。
35階でエレベーターホールに踊り出る。
日向の乗ったエレベーターは32階を差している。
間に合った…俺は息整えながら下のボタンを押す。



