私は来栖莉華。

高校1年生。

恋愛には興味なし。

したこともなし。

…なはずだった。

今日までは。


この学園にはnumber oneがいて

大勢の女子は

「好きです」

とか

「彼氏になってください」

だとか

number oneに向かって

ずっと

ずっと

言い続けてる。

私はそれを横目でチラリと見る。

バカじゃない。

彼氏なんて

つくっても何にもなんないじゃん。


「きゃあぁぁぁ♡」

近くで歓声が上がった。

number oneだ。

その周りを、付き纏うように囲む女子達。


そんな中、number oneは何も言わずに廊下を進む。

私は、こういう人達が大の苦手だった。

だから、トイレに行くフリをして廊下に出ようと扉に手をかけた。


どんっ

何かにぶつかり、弾き飛ばされた。

「…っ⁉︎」

ぶつかった相手はー

number oneの中のnumber one

一ノ瀬零

だった。

「…ぁ…。」

冷たい女子の視線

number oneの凍り付くような目付き。

「…すみません。」

そう言って立ち去ろうとした。








「おい。」

「…っ」

「お前…」

何か言われる…。

「…」

私は、何も言わずに走り出した。

遠くからnumber oneの声が聞こえたけど、無視して走り続けた。


「…っ、ほんとうっ…な、何なの…。」


その日は朝の事が頭から離れなくなった。


〜放課後〜
皆がいなくなった教室に。
まだ私とnumber oneだけは残ってた。

「おい。」

ビクッ

「…はい。」

number oneの手が伸びてきた。

私の顎を持ち上げると、

言った。

「お前、俺の女になれよ。」

「…は」

…っはぁぁ⁉︎

冗談じゃない‼︎

「…嫌です‼︎」

キッパリ断った。

「…へぇ。俺の誘いを断るなんて…おもしれぇ女。」

「…」

「俺の女になるまで諦めるつもりねぇから。」

ーっ‼︎

と言ってnumber oneはl帰って行った。


私はイラつきながら校舎を出た。

雨が降っていた。

「あ…傘、持ってない…‼︎」

どうしようかと迷っていると、誰かに傘を差し出された。

驚いて見上げてみると、

立っていたのはnumber oneだった。

まだ帰ってなかったの…⁉︎

「おい。傘、傘持ってねぇんだろ。」

鋭い言い方のはずなのに、優しさを感じた。

「…ありがとう、ございます。」

あんなにクールなのに、

こんなところもあるんだな

と思いながら、私は借りた傘を眩しげに見た。