相手は本当にいい人だったようで、申し訳ないという気持ちが伝わってくる。
「僕、一目惚れだったんだ」
「え?」
「僕は両親にお見合いをしろってうるさく言われててね。うんざりしてたんだけど。
でも君の写真を見せられた時、雷に打たれたみたいになったんだ。この人は、僕の運命の人だって」
その言葉を聞いた先輩の手に力が込められるのが分かった。
心なしか表情も強張っている気がする。
それを察した相手は苦笑いを浮かべている。
「いや、僕の勘違いだったみたいだ。君はすでに運命の人と出会っていたようだから」
「本当にすみませんでした。後日、改めて謝罪させてください」
「気にしなくていいよ。…君のお相手に怒られそうだからね」
先輩を見上げると、さっきよりも険しい顔で微動だにしない。
私もそれに苦笑し、更に相手に謝罪する。



