「…手加減なしで、お願いします。
あの人たちは、最初から私の親ではなかったので」
私の決意を込めた目を見た先輩は微笑んで、分かったと頷いてくれた。
「よし、徹底的にやってやろう」
「お願いします」
私を支配し続けた二人は、先輩が呼んだサングラスを掛けた強面の男性たちに引きずり出されていった。
先輩と見つめ合っていると、遠慮がちに声を掛けられる。
「…風花さん」
相手は名前も知らない婚約者。
「あっ…、すみません」
先輩に下ろすように伝えるが、嫌だと言われ、仕方なくそのまま話を続ける。
「あの二人が暴走して、色々とご迷惑を掛けて本当に申し訳ないと思っています」
「いや、僕こそごめん。まさか本当に本人に何も知らせずに結婚させようとしてたなんて思わなくて…」



