そう言われる度、何も言い返せずにいた。
けど、今なら。
先輩が私を必要としてくれていると変わった今なら。
「お父さんもお母さんも、ここまで育ててくれたのは感謝してる。
でも、私は決して幸せではなかった。
…あなたたちに感謝はするけど、もう私の人生に関わらないで欲しい。
顔も名前も知らない人と結婚なんてしないし、これ以上あなた達の道具になるつもりもない」
二人は私に初めて言い返されたので虚をつかれた顔になったが、すぐにいつものように私を躾という名の暴力で黙らせようとした。
「親に逆らうとはどういうつもりだ!?」
「どれだけあなたに投資してきたと思ってるのよ!!」
二人の手が伸びてきて掴み掛かられそうになるが、先輩が素早く動いて私を抱き上げる。
いきなりお姫様抱っこされて驚いたが、ここが一番安全だと分かっていたのですぐに先輩の首に手を回す。
「もうこれ以上、風花を傷つけさせはしません。
警察があなたたちの元へ行くように手筈しておきましたので、心しておいてください」
先輩の言葉を聞いた二人は青褪めて、逃げようと立ち上がる。



