無理やり結婚を迫られていたら、助けてくれたのは最愛の元カレでした



「自分の子供をどうしようが私たちの勝手でしょう!?」

母がヒステリックに叫ぶが、それすらも意に返さず、先輩は無表情のまま言い返す。

「自分たちの金遣いが荒いゆえに借金が膨らんでいるそうですね。

この結婚も借金の肩代わりと、会社の重要な取引先との間に婚姻を結ぶことでの出世を目論んでのことでしょう。

どこまで自分勝手に風花を苦しめれば気が済むんですか。

親なら子供の幸せを願って、それを傍で支えるものでしょう」

「あなたは親になったことがないからそんなことが言えるの。

お腹を痛めて産んだって、必ず愛おしい思えると思ったら大間違いよ。

うるさくて、お金はどんどん掛かるし、自分の時間だって持てない。

子供は幸せを運んでくるなんて言う人もいるけど、この子が運んできたのは不幸だけよ。

本当に産まなきゃよかったわ」

母の言葉で、その場に沈黙が訪れる。

『産まなければ良かった』この言葉は幾度となく言われてきたものだった。