ついてこないでって言ったのに、ゆうれいはバス停までついてきた。

このまま一緒にバスにまで乗り込んでくるんじゃないかと思った。

「もーっ!帰りなってばー!」

「なんでそんな冷たいんだよ。一緒にバス待っててあげてるだけじゃん」

「結構です!」

「ゆめってそんなに俺のこと嫌いだったん!?」

「そーじゃなくて!だって何してくるか分かんないし、かっちゃんのこと邪魔してこようとすんのもヤダ!」

「ゆめが幸せそうなら邪魔なんかしないよ」

「してるじゃん」

「幸せそうじゃないじゃん」

「ばか。きらい」

「うーわ。傷ついた」

傷ついた、って言ったのと同時に、ゆうれいのお腹が鳴った。

「え」

「え、今の俺?」

「どう考えたってそうでしょ。お腹空いてんの?」

「どー考えたってそーみたい」

「………あはははは。なにそれ…!」

ちょっと眉間にシワを寄せながらくちびるをへの字に曲げたゆうれいがおかしくて笑っていたら、
バスが停留所に到着した。

私の後ろにも並んでいる人がいたから横に逸れた。

「バス乗らないの?」

「だってお腹空いたんでしょ?」

「や、夕飯まで我慢するし」

「いいから!どっか寄ってこうよ。ゆうれいの奢りだからね?」

「ゆめ」

「なーにー。早く行くよー」

バス停まで来た道を、また学校のほうに向かって歩き出した。

バス停とは反対方向に十分くらい歩いたら繁華街に出る。

どんどん歩いていく私の腕を取って、
ゆうれいのほうに引き寄せられた。