「急に熱とかびっくりした。昨日は元気だったじゃん」

「うん。やっぱ四月の海は冷たかった」

「海?は?泳いだの?」

「ちょっとね。それでゆうれいも熱出しちゃって」

「怜もかよ…。なにやってんだよ」

「あ、ゆうれいは悪くないよ?私を止めようとして。それで…」

「結芽、危ないだろ?海って白浜?まだ開放されてないときに何やってんの。もうしちゃだめだからな?」

「はーい…」

「帰ったときおばさんびっくりしてただろ?」

「ううん。雨が降ってたから。ぜーんぶ証拠隠滅」

ピースサインを作った私の頭を、かっちゃんがコツンって弱いちからでやった。

「溺れてたらどうすんだよ。怜は男だしちからはあるかもしんないけど、絶対じゃないからな?」

「じゃあ…ほんとに危なくなったらかっちゃんも助けてくれる?………なんてね。ムリでしょー?だってこころちゃんとデートだったもんね。邪魔しないから安心して?」

「お前なぁ…。俺はお前が危なっかしいことに怒ってんの!結芽にも怜にも危ない目に遭って欲しくないんだよ」

「私がどうにかなっちゃったら悲しい?」

「当たり前だろ。結芽も、怜も大事なんだから」