「こんな中途半端な気持ちで付き合うほうが悪いじゃん」
「まだ引きずってんの?もういいんじゃない?次に進んでも」
「それだって人に決められることじゃないよね?私がやっぱりかっちゃんのことが好きだって、忘れられないんだって言うんなら好きでいることは勝手だと思うんだけど…」
「だったら怜にもハンパなことしないで欲しいんだけど」
さっきまで私の様子を窺うような、探っているような口調だったのに、急に語気を強めて言ったニカを見た。
責めるような目をしている。
心臓がドクン、ドクンって強く脈を打ち始めた。
「なに…ハンパって…」
「結芽は怜のこと親友だって主張するけどさ、私にとっても大事な親友だから。結芽が怜に対して不誠実なことしてるんなら許せないんだよね」
「不誠実?」
「結芽が体操服忘れて取り戻った日のこと覚えてる?あの日からあんた達の様子がおかしくなって、怜にも聞いたんだよ」
「ゆうれい、なんて…」
「別に。詳しいことは言ってくれないけど、何をされたって結芽のそばに居られるならそれでいいの一点張り。なんにもないってカオじゃないし気になったけど無理矢理聞くわけにもいかないし。そっとしといたけどさ」
「それは本当に何もないからであって…」
「昨日、文化祭が始まる前に言われたんだよね、市原さんに」
「こころちゃん?」
「そろそろどうにかしたほうがいいかもねって。結芽と怜のこと。何を言ってるのか分かんなかった。でも市原さんが言ったんだよ。“よくないことになっちゃってるかも“って。わざわざそんなこと言ってくるの、おかしいよね?」
「それはっ…だからこころちゃんがおかしいんだよ!そんなこと急に言ってくるなんて変じゃん!ニカもなんで間に受けるの?私よりこころちゃんを信じるの?」
「おかしい雰囲気、私にだって分かるよ。どっちのほうが信憑性あるかなって考えたらさ、ごめんだけど市原さんなんだよね」
「なんで?私のほうがニカの親友なのに…」
「今ので確信した。そうやって必死になって、親友でしょって気を引こうとして、誤魔化そうとする。怜に対してもずっとそうだったよね?ねぇ、何をそんなに隠そうとしてんの?あんたのことが心配だからこんなこと言ってんだよ?ちゃんと話してよ。全部壊れちゃったらどうしようもなくなっちゃうんだよ!?」
バンってテーブルに手をついて立ち上がったら、
お冷のグラスに手が当たってしまって、こぼれた。
倒れたグラスをそっと元に戻しながら、
ニカがおしぼりを被せるように拭いてくれたけれどちゃんとは拭けなくて、
そんなニカを見ながら私は…喫茶店を飛び出してしまった。
「まだ引きずってんの?もういいんじゃない?次に進んでも」
「それだって人に決められることじゃないよね?私がやっぱりかっちゃんのことが好きだって、忘れられないんだって言うんなら好きでいることは勝手だと思うんだけど…」
「だったら怜にもハンパなことしないで欲しいんだけど」
さっきまで私の様子を窺うような、探っているような口調だったのに、急に語気を強めて言ったニカを見た。
責めるような目をしている。
心臓がドクン、ドクンって強く脈を打ち始めた。
「なに…ハンパって…」
「結芽は怜のこと親友だって主張するけどさ、私にとっても大事な親友だから。結芽が怜に対して不誠実なことしてるんなら許せないんだよね」
「不誠実?」
「結芽が体操服忘れて取り戻った日のこと覚えてる?あの日からあんた達の様子がおかしくなって、怜にも聞いたんだよ」
「ゆうれい、なんて…」
「別に。詳しいことは言ってくれないけど、何をされたって結芽のそばに居られるならそれでいいの一点張り。なんにもないってカオじゃないし気になったけど無理矢理聞くわけにもいかないし。そっとしといたけどさ」
「それは本当に何もないからであって…」
「昨日、文化祭が始まる前に言われたんだよね、市原さんに」
「こころちゃん?」
「そろそろどうにかしたほうがいいかもねって。結芽と怜のこと。何を言ってるのか分かんなかった。でも市原さんが言ったんだよ。“よくないことになっちゃってるかも“って。わざわざそんなこと言ってくるの、おかしいよね?」
「それはっ…だからこころちゃんがおかしいんだよ!そんなこと急に言ってくるなんて変じゃん!ニカもなんで間に受けるの?私よりこころちゃんを信じるの?」
「おかしい雰囲気、私にだって分かるよ。どっちのほうが信憑性あるかなって考えたらさ、ごめんだけど市原さんなんだよね」
「なんで?私のほうがニカの親友なのに…」
「今ので確信した。そうやって必死になって、親友でしょって気を引こうとして、誤魔化そうとする。怜に対してもずっとそうだったよね?ねぇ、何をそんなに隠そうとしてんの?あんたのことが心配だからこんなこと言ってんだよ?ちゃんと話してよ。全部壊れちゃったらどうしようもなくなっちゃうんだよ!?」
バンってテーブルに手をついて立ち上がったら、
お冷のグラスに手が当たってしまって、こぼれた。
倒れたグラスをそっと元に戻しながら、
ニカがおしぼりを被せるように拭いてくれたけれどちゃんとは拭けなくて、
そんなニカを見ながら私は…喫茶店を飛び出してしまった。



