毒で苦い恋に、甘いフリをした。

「隠してるって…何を…?」

「結芽さ、クリスマスってどうすんの?」

「え?クリスマス?いや、隠してること?となんか関係あんの?」

「私は黒崎と会うから遊べないけど。もしかして怜と会う?」

「ゆうれいと?でもかっちゃんとこころちゃんも二人で会うだろうし、ゆうれいと二人では会わないんじゃないかな」

「付き合ってないの?」

「ニカってば。またそれ?付き合ってないってー」

「…うそ」

「うそじゃないよ…どうしたの?」

「なんか変だなって思っただけ」

「変ってなにが?」

ニカが片付けを進めながら、でもさっきから教室に居る人達をチラチラ見て気にしているみたいだった。

「あとで話そ。今日は黒崎と帰んの断るからさ」

「なんで?全然、私とは別に電話でもいーじゃん!」

「いいから。あんまり人が居ないほうがいいんだよ。分かるでしょ?風と怜の話題に周りが敏感だって」

「うん…分かった…」

かっちゃんとこころちゃんが付き合っていることを、知らない人は学年の中にはもういない。

それでもかっちゃんとゆうれいがペアになっていたら人の視線を集めたし、
ゆうれいと一緒に居たら私ですら妬まれている。

でも最近はゆうれいが私に距離を置いている。
それは、確かにずっと見てきたニカには不自然に感じると思う。

私達の中になにかあったんじゃないかって思うだろうし、
ゆうれいに距離を置かれている理由に私だって気づいている。