毒で苦い恋に、甘いフリをした。

「なんか隠してない?」

あれから、怖いくらいにこころちゃんは「普通」で、
ゆうれいは不自然なくらいに、私に必要以上に絡んで来なくなった。

かっちゃんとこころちゃん、
ニカと黒崎くんのカップル達はなんの問題もなく順調に付き合っているみたいだった。

かっちゃんとこころちゃんの間に何も問題がないわけがないって本当は思っている。

あの日、こころちゃんが友達と話していたことの真意が分からないまま、もう十一月になって、
文化祭が終わった。

私達のクラスはコスプレカフェをした。

執事の衣装を着せられたかっちゃんは最後まで眉間に皺を寄せていて、
チャイナドレスを着せられたゆうれいはノリノリで、メイクがすごく映えて本当にきれいだった。

カフェで使った教室を片付けながら、ニカが唐突に言った言葉。
使い捨ての食器類や教室の飾り付けをゴミ袋にまとめながら、ニカの顔を見た。

冗談を言っているような表情じゃない。
それどころかずっと言おうって決心していて、やっと口に出せたって感じの硬い表情だった。