夜になると熱も引いて、咳も落ち着いた。
翠さんはまたお粥を持ってきてくれてと、たくさん面倒を見てくれている。
「蓬? どうした?」
「なんでもない……ですっ」
どうしてか私は……翠さんの顔を直視できなくなっていた。
なんでだろう……。
「あの……翠、さん……」
「っ、は?」
いつの間にか、翠さんの服の裾を掴んでいた。
「……どうした? まだ具合悪いのか?」
「い、いや……もう、治ったん、ですけど……」
───寂しい。
行かないで。
「寂しい、です……っ」
「っ、は?」
本音が、漏れてしまった。
ずっと、寂しかった。
心を許せる人がいたら、どれだけ幸せだろうって。
でも、橙華は独りで闘ってきたんだ。
私だけが、幸せを望んじゃいけない。
なのに。



