腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

私の顎に指を滑らせ、強制的に視線を合わせられる。



「俺、そういう思想大っ嫌いなの」

「……」

「泣けるよーになったじゃん」

「え……?」



ずっと下を向いて黙っていたら。

小さい笑い声が聞こえた。



「妹ちゃんのためなら泣けるんでしょ? じゃあさ───俺のために泣けよ」

「な、なに……言って……」



部屋に差す夕日。

オレンジ色の光は、翠さんの金色の瞳と同じ色だった。



「言っただろ、好きな女って。好きな女泣いてたら、泣き止ませるのが男ってもん」

「す、翠、さん……?」



私が話しかけても、喋るのをやめない。



「愛を知らない? なら、俺がわからせてやる。俺がどんだけ蓬に魅了されてるってこと」

「っ……」



なんでこの人は……恥ずかしげもなくこんなこと言えるの?



「っ、ん……!?」



急に顔を近づけてきて、触れ合った唇。