腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。





「ここが、海……」



あれから数日。

今日は翠さんが海に連れてきてくれた。



「綺麗……」



キラキラと太陽によって光り輝く水面。

小さな貝殻が落ちている綺麗な砂浜。

全てが、初めて見る光景だった。



「ほんとーに初めてなの? 俺、その年で海初めての人初めて見た」



私は翠さんの言葉に、苦笑いしか返せなかった。



「小さい頃から、“そんなことする暇あったら勉強しろ”と言われて……。いつしか諦めてました」



そう言うと、翠さんはなんとなく悲しい表情になった。



「じゃあ、今までできなかったこと、俺としよーね」

「……ありがとうございます」



“これから”の予定がまた埋まって、嬉しい気持ちになった。

そして、翠さんはあるところを指さして言った。



「てかなんでこいつらもいるわけ!?」



そこには、ビーチマットを敷く冬月さんと橙華、バーベキューの用意をする朝比奈さんと和葉の姿が。



「さぁ、なぜでしょう?」



本当は二人で海に来る予定だったけど、全員と行くことになった。

橙華も海は初めてのようで、ビーチマットを敷きながら貝殻を見つめていた。



「橙華、海はどう?」

「うん、綺麗……」



和葉と橙華はとても仲良しになったようで、とても嬉しかった。



「翠さん、早く泳ぎましょう!」

「ちょっ、蓬張り切り過ぎじゃない? 俺水着中に着てないから着なきゃ」

「じゃあ早くしてください」



海で泳ぐのなんて初めてで、とてもワクワクしていた。