「花嫁様、これでよろしいですか?」
「ええ。ありがとうございます」
メイク担当の人が出ていき、ため息をついた。
今日は結婚披露宴。
そう、結婚だ───……。
「お父様、準備が整いました」
「ああ、綺麗だ」
私はご満悦の父親の表情を見て、こっそりと笑った。
「蓬がちゃんとしているおかげで、九条家もここまで成長できた。本当にありがとう」
「いいえ。とんでもございません。私こそ、“あのとき”に無茶苦茶なことを言ってしまい申し訳ありません」
「そんなこと、今となってはどうでもいいわ。ありがとう、蓬」
今日私が満面の笑みで演じているのは、“最後の演技”だからだ。
母親も父親も、私の表情に騙され笑っていた。
本当、最高の反応ね。
「では、そろそろ白斗様と行って参ります」
「ああ。気をつけて」



