私は、地味で、大人しくて、目立たなくて、可愛くもなくて。
良いところなんて1つもなくて。

恋もしたことない。
だから、

友達と恋バナなんてしたことない。


だって、告白されたことないから。

だって、好きな人なんていないから。

だって、彼氏なんていないから。


私は私のままでいい。
別に地味だって、一生彼氏が出来なくたって。


「おはよ、莉亜‼︎」

私には、信用できる友達が1人だけいる。
それは、元気にいつも挨拶してくれる、

星川 愛那(Hoshikawa Aina)

私の唯一の友達だ。


私とは真逆で、派手で、活発で、目立ってて、可愛い女の子。

良いよね、いつでも注目されて、可愛くて。



できて。

私は、そんな愛那のことを羨ましく思ってしまう。
それがいつか嫉妬に変わってしまいそうで、怖かった。


「おはよう…愛那。」

「何か元気ないね?大丈夫?風邪でも引いた?」

「そんな事ないよ、大丈夫、だから…。」

愛那は過保護だなぁ…。

「ね、莉亜って恋したことある〜?」

ニヤニヤしながら覗き込んできた愛那。

「…恋ってなに?」

「え〜‼︎知らないの?…でも、恋は私に教えてもらうよりも〜、運命の人に教えてもらいな‼︎り・あ〜?」

「うんめいの、ひと。」

「あはは、分かってないみたいだね。でも、もうすぐきっと分かるよ〜‼︎」

…などと話していると


周りがざわめきはじめた。

「ねぇ見て。また地味子が愛那と喋ってるよ〜。いい加減自覚しなよね、愛那とは釣り合わないって。」

ーっ…。

「ね〜、別に風邪引いたなら学校来なくて良いんですけど〜。」

何で…。

「うざ。愛那とお前は別次元なんだっつ〜の。いい加減分かれよ。」

同じ、人間じゃん…。

「今日も地味だな〜。俺、ああいう地味なやつ無理。メガネも無理。」

何で、そんな酷いこと言える訳…?

「アイツが来なくても別に何も困らないのにな〜。一生懸命来てバカみたいだな。」

…最低じゃん。


「ーっ…。」

その冷たく、尖った言葉は、
私の心に突き刺さる。

「どうしたの莉亜⁉︎やっぱり、なんかあったんじゃ…」

愛那が心配そうな顔でこっちを見てきた。

やめて。私に関わらないで。

もう、心が折れちゃうよ。
もう莉亜のせいで何か言われるのは嫌…‼︎

だから、私は愛那に言ってしまった。
最低なことを。

「…で」

「え…?聞こえないよ。」

「もう私に関わらないでっ‼︎」

私は咄嗟に叫んだ。
周りの人達がこっちを見た。

「ーっ‼︎莉亜…⁉︎」

愛那は、驚いたような表情をしていた。

「っ愛那のせいで、私の高校生活無茶苦茶よ‼︎っ…だから、もう関わらないで‼︎」

…と、言ったところで気がついた。

私、愛那になんてこと言っちゃったんだろう。
愛那のせいじゃないのに。

でも、後悔してももう遅い。

「…分かった。莉亜がそう言うならいいよ。もう関わらない。…またね。」

愛那は悲しそうに微笑んで、廊下の方へと消えていった。

「…ぁ…ぁぁ…。」

私…もうダメだ。
愛那にまで嫌われて、もう学校行けないじゃん。

学校に愛那以外の味方なんてー

いない。