か、可愛いって。相楽くんに突然そんな甘いことを言われると、反応に困るんだけど。


それに相楽くん、今さらっと私のことを『小嶋』じゃなく『希空』って……。


家族以外の男の人に、名前を呼び捨てで呼ばれたことがないから照れる。


「友達になったなら、俺はこれからお前のことは希空って呼ぶから。希空も海斗って呼んでよ」

「えっ?」

「陸斗のことだけ名前で呼んで、俺は苗字でズルいって思ってたんだよ。同じ双子なのにって」


相楽くんが、少し不機嫌そうに言う。


「さっ、相楽くんは相楽くんだよ」

「海斗、だろ? ほら、呼んでみて?」


甘い声と妖艶な顔に迫られ、心臓が跳ね上がる。


「かっ、海斗くん……」

「うん。よくできました」


海斗くんは嬉しそうに顔を崩し、ご褒美のように私の頭を撫でる。


とろけるような笑顔と触れた手に、不本意にも脈が速まってしまった。


「俺、希空に少しでも好きになってもらえるように頑張るから。改めて、これからよろしくな」


私がこの先海斗くんを好きになることなんて、あるのかな?


そう思いながらも私は、海斗くんの言葉に頷いた。