──ガタッ
手応えに阻まれた。
鍵がかかっているみたいだ。
教室の中を照らして覗いてみようとしたものの、ガラスに反射して眩しい光を跳ね返され、ほとんど窺えなかった。
(次……)
諦めて静かに歩を進め、隣のF組へ移る。
先ほどと同じように扉を引こうと試みた。
(だめだ、開かない)
ガタッ、と揺れるだけで動かない。
さすがに動揺してしまう。
(この中に屋上の鍵があったら……)
それを回収するためには、3年F組の教室の鍵をどこかから見つけ出さないといけない。
でも、その鍵もまた別の施錠された教室に隠されていたら────。
そんな途方もない思考に陥りかけ、慌ててかぶりを振った。
そんな可能性の話を考えていても仕方がない。
いまはただ、時間を無駄にしないよう動くしかない。
気を取り直して、続くE組、D組と確かめてみたけれど、どちらも開く気配はなかった。
(本当にどこかは開くんだよね?)
これじゃそもそも鍵を探す段階にすらたどり着けない。
焦りそうになる気持ちをどうにかおさえた。
別にすべての教室を開ける必要はないのだ。
要は屋上の鍵さえ見つけられればそれでいいのだから。
(次の教室にあるかもしれないんだし……)
そんなささやかな希望を胸に、C組の扉に手をかける。
(お願い、開いて)
祈りながら指に力を込めると、ガララ……と静かにスライドして動いた。
「!」
開いた。
切実な祈りが通じたようで、ほっと思わず息をつく。
真っ暗な教室へ足を踏み入れ、ライトの明かりを周囲へ振り向けた。
一見して何の変哲もない空間。
見た限りでは鍵らしきものも見当たらない。
「どこにあるんだろ……」
隠されているとして、いったいどこに?
鍵なんて小さなもの、いかようにでも隠すことができる。
ああ、と思った。
施錠されていない教室を見つけたら、そこからがまた難関なんだ。
どこにあるのか、そもそもあるかどうかも定かではない鍵を見つけ出すのは容易じゃない。
しかもあまり時間もかけられない。
(とりあえず────)



