わずかに沈黙が落ちた。

 “正解”は分からないままだけれど、時間は止まってくれない。

 きっと、みんなが同じことを考えている。
 現実感が現実に追いついた。

「怖いけど……手分けするしかないよね、鍵探し」

 タイムリミットがある以上、時間も人手も無駄にはできない。

 死んだとしても、あくまで夢の中の出来事だから、と割り切るしか────。

 あんな苦痛、もう味わいたくなんてないし、腕の傷がリミットであると仮定すると何度も死ねないのだけれど。

「校舎は4階建てで、あと屋上があるから……ぜんぶが崩れ去るまでには5時間ある!」

「実質4時間だよね。4階が崩れたらどのみち屋上には出られない」

「4時間でも十分じゃね? 思ったより時間ありそー」

 夏樹くんの顔に余裕の色が戻った。

「でもさ、こんな広い校舎から、こーんなちっちゃい鍵を探し出すんだよ?」

 柚が身振り手振りを使って反論した。
 大きく手を広げてから、指先をすぼめる。

「何の手がかりもないし、簡単じゃないよね……」

「しかも徘徊(はいかい)してるあの化け物から隠れながら、だろ?」

 肩をすくめたわたしに朝陽くんも同調した。

 そうだ、何よりその化け物が阻害(そがい)してくる。存在だけで。

 いまは冷静でいられるけれど、いざあの真夜中の校舎に放り込まれたら、そして化け物に追われたら、正気を保っていられる自信はない。

「じゃあ……分担決めとく?」

「俺、上の方がいい!」

 高月くんの話を聞き、床が抜けて崩れ落ちる想像をして恐れをなしたのだと思う。

 そんな夏樹くんの希望もあり、1階は朝陽くんと高月くん、2階はわたしと柚、3階を彼が探索することになった。

 彼はひとりきりになることにもごねたけれど、下の階層の人手を削るわけにはいかず、渋々引き下がったようだ。

「別れる前に、一応職員室確かめとかない?」

「そうだね。昨日みたいに全員同じ位置から始まるか分かんないけど……ばらばらだったら職員室前に集合しよ」